AWS re:Invent 2019参加レポート:ぐるなびエンジニアの視点から

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こんにちは! 豊濱です。

今回は、AWSのre:Invent 2019にぐるなびのエンジニアが参加した様子をインタビュー形式でお届けします。

re:Inventとは

AWSが毎年1回、ラスベガスで開催する同社最大のイベント。今年で8回目になります。

日本からの参加者も多く、アメリカの入国審査で航空チケットを見せると「AWSのイベントに行くのかい?」と聞かれるほど(実際わたしも過去に参加した際きかれました)。 基調講演ではCEOのAndy Jassy、CTOのWerner Vogelsが目玉となる機能やサービスを発表したり、プレゼンテーション形式のセッションだけでなく、体験型のイベントやワークショップなどさまざまな催しが行われます。

参加するまでの経緯について、まずはぐるなびの開発を束ねるマネージャーに今回の取り組みについてインタビューしました。

「会社が成長軌道に乗るときに、開発が追い風になりたい」

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ぐるなび開発 マネージャー 千葉牧人

−− re:Inventにエンジニアが参加するにあたり、マネージャーとしてどういう思いで送り出したのでしょうか。

千葉 ぐるなびを取り巻く環境も、社内の組織・体制も変わっている中、開発も「進化」が必要になるはず。改善、改革要素はたくさんありますが、進化する、変わるということは、まずは何かに気づくことでもあると思うんです。気づきの一つのきっかけを作りたかった。社内・社外でエンジニアの交流とか勉強会の延長で、人が一挙に集まるre:Inventは刺激を受ける大きな要素と思って送り出しました。それが大きな理由です。その結果、新しい働き方に変化が始まり、会社が成長軌道に乗るときに、開発も追い風になりたいと思います。

−− なぜ、このメンバーだったのでしょうか。

千葉 現場感があり、自分達の気づきをみんなに共有できるという目線でお願いしました。マネージャが行くよりも効果あるでしょう。と。本当は全員で行きたかったんですが(笑)

−− ありがとうございます。では、そんな思いを受けて参加したメンバーを紹介します。

思いを背負ってラスベガスへ旅立った2人

−− まずはお2人の自己紹介からお願いします。

楠本 楠本です。「日経 大人のレストランガイド」というコンテンツを担当しています。先日リニューアルが完了したので現在は運用・保守がメインですが、そこでスクラムマスターをやっています。ちなみにリニューアルではTypeScriptを担当していました。

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開発部 Engineeringセクション 開発第10グループ 楠本 忠嗣

大野 大野です。店舗チームに所属しています。店舗ページ(ぐるなびに掲載されている各店舗の詳細ページ)と、PRO for 飲食店(ぐるなび加盟店の方が情報を入力するページ)の開発とマネジメントを担当しています。

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開発部 Engineeringセクション 開発第2グループ リーダー 大野 宗一郎

普段の二人の関係性

−− ありがとうございます。普段からお二人は業務の接点があったんですか?

大野・楠本 いや……ない……ですね。

−− 業務以外では?

楠本・大野 ない……ですね。

(一同笑)

楠本 もちろんお互い顔は知ってましたけど、今回「行く」ってなってから交流を深めて、現地でも一週間一緒だったんで、色々と有意義な話ができましたね。

大野 色々と、ですね。

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re:Invent以外の話題にも花が咲いたようです

AWSとの関わり

−− AWSとの関わりは業務上あるんですか?

楠本 いえ、ないです。同じチームのメンバーがCloudFrontとLambdaでサービスを立ち上げたりしていますが、自分は接点がほとんどないですね。

大野 PRO for 飲食店の一部でLambdaやAPI Gatewayを使っています。あとは裏側の大規模なデータベースをクラウドに移せないかという検討・検証をAWSの方と一緒にすすめています。

−− なるほど、ありがとうございます。実際に業務で使っている、使っていないと分かれたお二人ですが、現地でどういうものが興味深かったかを聞いていきたいと思います。

使ってみたいと思った新サービスは?

楠本 Fargate for EKS*1とS3のアクセスポイント*2ですね。S3アクセスポイントは個別に権限を設定できて、バケットポリシーの肥大化を防げるので、どこか業務で使えそうだなと思いました。

大野 楠本さんもお話されていたFargate for EKSは業務でも使えるな、と思いましたし、M6*3もインフラ視点で選択肢が増えて期待できそうでした。業務改善でやってみたいなと思ったのはAmazon CodeGuru*4ですね。一度自分のチームでトライしてみたいです。

楠本 (CodeGuruは)今Javaだけだから、今後NodeとかPHPも対応してくれることを期待してます。

今回のセッションで興味深かったものを3つ教えてください

−− ちなみに今回、お二人はけっこう一緒に行動されてたんですか?

大野 いえ、そうでもないです。基調講演と他いくつかは一緒でしたが、あとはほぼバラバラでしたね。

楠本 業務とは観点が全然違うんですけど、興味深かったのはDeepComposerですね。朝ごはん食べてるときにたまたまワークショップが取れたんで行ってきたんですけど*5、主メロディを弾くと機械学習で伴奏を付けてくれる、という最新の技術が実際に手で触れられる、というのがとても楽しくて。SageMakerの設定を変えると伴奏の雰囲気も変えられる、みたいなものは遊び要素が大きいんですけど体験として面白かったですね。

あとはポケモンカンパニーとカプコンのセッションは勉強になりました。

大野 自分はマイグレーション(オンプレミスからクラウドへの移行)中心に参加してたんですけど、その中の一つで、大企業がマイグレーションする際に組織自体をマイグレーションする、マインドチェンジするために色んな施策をやった、というセッションはためになりました。re:Inventにも30人派遣したり、トレーニングや資格試験にも積極的に参加させたりするためにどういう手順を踏んだのか、というような内容でした。

もう一つはデータベースを移行していくというサービス*6を、実際にワークショップで手を動かしてみて「自分のサービスだったらこうやって、詰まったらこうして」みたいなところが2時間ぐらいで理解できたのはすごくためになったな、という感じでした。

ポケモンは自分もすごく興味深かったです。日本人には身近な存在ですし、こうやって世界に認められてるんだなというのを実感できたので。

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DeepComposerの実機。親切にドレミファ……が貼られている

現場の熱量どうでした?

大野 めちゃめちゃアツかったですね。

楠本 もうフェスですね、フェス(笑)

−− それはre:Play*7ではなくて?

楠本 ではなくて、それまでのセッション・イベントで盛り上がってきて最後にre:Playといった感じで。

−− 期間中だとどのあたりで一番熱量感じました?

大野 やっぱり基調講演ですね。すごい人数が一同に介して、バンド演奏で盛り上がったところに新サービスの発表が続いて「おお〜」ってなったりとか。こんなにも多くの人がAWS使っている、というのが実感できましたね。

楠本 参加人数が今回65,000人で過去最高だって言ってて、(街に出ても)AWSパーカー着た人とかバッジつけた人ばっかりですし、会場の中でもそこら中で議論している人たちもいましたし、セッション前に並んでても、ランチを食べてても知らない人同士が「あれどうだった?」みたいな会話をしていて、「AWS」という1つのワードでこんなにも多くの人がつながってるんだ、って思いました。

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セッション会場前の人波

まとめ

−− 現地に行ったことで視野が広がったとか、視座があがった、みたいな部分はどういうところでしたか?

楠本 今のぐるなびってどのあたりにいるんだろう、というのは考えました。現地で日本企業の人ともお話しましたが、もうAWSへの移行は終わったってお話ばかりでしたし、海外の企業はさらにその先を行っている。正直に言って、日本の中でも差は歴然としているな、というのを感じたのが一つ。もう一つは2人とも英語がそこまで話せなかったので、英語頑張ろう、って思いました。

あと、ちょっと現実的じゃないかもしれないですけど、自費でも行きたいなと思えるイベントでした。いろんなセッションやイベントを通してクラウドに対する意識が変わったので、もっとやろう、取り組もうという思いになりました。

−− 大野さんはいかがでしょう?

大野 いや、もう、そのとおりです。

(一同笑)

大野 なんかあるかな……クラウドサービスという視点で、いいものがあればAWS以外のものも取り組んでいきたいと思いました。

行く前に自分で決めていたミッションとして「会社に何かしら役立てるものを持って帰ってくる」というのがあって、けっこう持って帰ってこれたかなと思うんですけど、日本企業の方と話していて「移行」という話をしても、AWSの古いサービスから新しいサービスの移行の話だと最初思われてしまって。自分たちはもっと頑張んなきゃなという意識になったのが大きかったです。

あと英語ですね。そんなに得意じゃないのにこれだけたくさん持って帰ってこれたってことは、もしちゃんと話せたらとてつもなく吸収できるんじゃないか、って思ったので、これからも勉強してもう一回行こうと思いました。

楠本 2人で話してたんですけど、自分たちは熱量がすごく上がったけど、それを社内に展開するにはどういう方法がいいんだろう、というのはありました。「すごくよかったよ」だけでは伝わらないんで、千葉さんとも話して開発部全体でクラウドをうまく使っていけるようになればいいな、と思います。

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2人とも現地に行って得られたものは大きかったようです

現地で何食べました?

−− ぐるなび的にはこれ聞いとかないとですよね。

楠本 とりあえず肉とポテトでしたね。In-N-Out Burgerは手頃で美味しかったです。

大野 デニーズにいきましたけど、日本のデニーズのノリで行ったらとにかくボリュームが多くて……(笑) チキン・バーガー・ビーフって感じでした。

−− 各セッション会場の移動や待ち時間もけっこうあるので、飲食店探しに行こうというのも難しいですよね。

楠本 朝ごはんと昼ごはんを会場で食べられたのは大きいですね。持ち帰り用のミールもありましたし、お菓子とか配ってましたし。

大野 コーラ毎日飲んでました(笑)

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re:Inventの会場内にある食堂。想像をはるかに超える広さ

日本に帰ってきて食べたくなったものは?

大野 現地で日本食食べたいねって話してましたよね。

楠本 自宅に帰ったらもう夜ごはんの時間だったので、米と豚汁食べました。「うわ、味噌、うめー!」って。翌日は振替休日だったんですが、一人で寿司食べました(笑)

−− たぶん寿司って回答が来るだろうなとおもって、この質問用意してました。

大野 実は僕も帰ってきて豚汁食べました(笑) 翌日は鍋食べましたね。

楠本 塩っ気とか醤油っ気みたいなものを体が欲してましたね。

−− ありがとうございます。そう思うと日本って何でも美味しく食べられてすごい国ですよね……。

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現地のお土産の一部も持ってきてくれました。ブログ編集部にもチョコレートいただきました(食べちゃったので写真はないです……)

さいごに

というわけで、re:Inventについてマネージャと参加したお二人に話を伺いました。

インタビューを通して、世の中や会社が変わっていく中で開発が追い風になりたい、その思いを受けて参加した2人もしっかりと気づきや熱量を得て帰ってきてくれたんだな、というのが感想です。

この取り組みから、開発部やプロダクトにフィードバックした成果がでたとき、また記事にしてお届けしたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


豊濱
2017年5月中途入社。一生エンジニアで生きていきたいと思っている。最近はPython3とC#がマイブーム

*1:Amazon Fargate for Amazon EKS

*2:Amazon S3 Access Point

*3:EC2の新しいM6g/R6g/C6gインスタンス

*4:機械学習による自動コードレビュー

*5:re:Inventで開催される数千のセッションはほぼすべて満席。タイミングよくキャンセルが出るとこのように予約が取れることがある

*6:AWS Database Migration Service

*7:re:Invent最後の夜に開催されるお祭り。ロックフェス並みの規模とクオリティ