約 3 ヶ月毎日社内の Slack に SEO の情報を流して会社の SEO 知識レベル向上させてみた

こんにちは、開発 Unit 10 の小林(@0rga)です。

普段は React や Node.js による開発を主としておりますが、以前 SEO 施策の開発実装に多く関わっていた時に SEO の楽しさに気が付き、そこから SEO の動向を追うのがひとつの趣味になっています。

TL;DR

  • Slack で SEO の情報発信チャンネルを作ってみんなを呼び、毎日アウトプットしたよ
  • 後にチャンネルでとったアンケートで、SEO への理解が深まったり、苦手意識が薄れたという声を貰えたよ
  • チームや会社に SEO への理解が欲しい人にはオススメの方法だよ

社内の SEO 知識レベルの向上に貢献したいと、ふと思った

WEB サービスと SEO は切っても切れない仲ですので、SEO 好きの開発者を増やすべく、チーム内でも SEO の勉強会を開催したり SEO の奥深さの布教をしていたのですが、その時によく聞く声は

  • 「SEO よくわからん」
  • 「SEO 施策は開発していても楽しくない」
  • 「(よくわからない)SEO 施策を考慮してページ内に要素を増やしたくない」

というものでした。

たしかに SEO 施策の意味の伝わりにくさ、理解のしにくさは、SEO 業界あるあるだなと思い、どうにかして社内の SEO 知識レベルの向上に貢献できないかと考えるようになりました。会社全体で SEO 知識が向上すれば、SEO 担当者と SEO 施策開発者、両者がハッピーになると単純に思ったからです。それと、個人的に、SEO 施策の半分は「おそらく良くなるはず」でなりたっていると思っているので、それを全員が知っているだけでも、もっと良くなるとも思いました。

SEO の情報発信を行う Slack のパブリックチャンネルを作成

社内で情報発信するのに今一番いい手法は何かなと考えた結果、Slack のパブリックチャンネルを作成して、ちょっとでも SEO に興味がある人を全員誘ってみんなを巻き込んでみようと思いました。

会社の全体チャンネルで宣伝

エンジニア、非エンジニアの壁があるのは、自分が望む形ではなかったので、業種関係なく社員全員がいるチャンネルで宣伝をしてみました。

結果的には、#x_seo というチャンネルを作成して、全社員の 1/10 ぐらいの人がチャンネルに入ってくれました。チャンネルを作るという最初のアクションとしては満足する結果を得られました。

実際にチャンネルで行ったアクション

毎日 SEO の情報発信をする

せっかく多くの人がチャンネルに参加してくれたので「SEO ちょっとわかるようになった」「チャンネルに参加してよかった」と思ってもらえるように、ひとまず数ヶ月は毎日チャンネルに SEO に関連する情報を投稿しようと思いました。
Youtuber が「チャンネル登録数を増やすには毎日投稿!」と言っていたので、自分も倣ってみようと思ったのです。

しかし、情報発信初日から「Google のアルゴリズムについて」などを発信しても、初心者置いてきぼり即チャンネルミュートが目に見えていましたので、まずは初歩的な

  • そもそも SEO とは
  • クローラーとは
  • クロールバジェットとは
  • robots.txt とは
  • 構造化データとは

あたりから発信していき、チャンネルに参加してくれた人全員がついてきてくれるように心がけました。

また、SEO は専門用語が多いのですが、それらも可能な限り使わずに、もし使う場合でも、注釈のリンクを貼るなど、誰にでも読める文章を意識しました。

リンクを共有する場合でも、リンクだけをチャンネルにぺっと貼るだけではなく、リンクはクリックして貰えないという前提を持って、リンク先の情報を自分の中で噛み砕いて、自分の言葉で説明を添える事を意識していました。

Google のドキュメントを噛み砕いて説明している

他にも、情報発信の頻度も煩わしいと思われないように 1 日に 1,2 回に抑えるなど、自分の中で発信ルールを決めてチャンネル運用をしました。

リアクション用のカスタム絵文字を作成

ひとりでチャンネルを運用をしているので、参加している人からのリアクションはとても嬉しく、モチベーションに繋がります。

しかし、毎日情報発信があると、読んでいる側も毎度のリアクションに悩むものです。
そこで、参加者が「リアクションしない」に出来る限りならないように、チャンネル専用のカスタム絵文字を作成して、リアクションのしやすさを向上させてみました。

作ったリアクション専用絵文字。「SEO なるほど」が一番よく使われている。

結果として、情報発信のたびに多くのリアクションを貰えるようになり、毎日情報発信を行うというモチベーションを維持する事ができました。
また、まずは自分でスタンプを全種類押すことで、さらに参加者がスタンプを押しやすくするという小技も身につきました。

貰えるリアクションの一例

アンケートを投げる

1.5ヶ月ほど毎日情報発信を行った後に、情報発信がどうだったかのアンケートを取りました。
SEO の何が知りたいのか、実際に発信している情報について来てくれているのか、チャンネルに参加してどうだったのか、など色々聞いてみたいと思ったからです。

実際に投げたアンケート

結果として、参加してよかったという声や、もっとこういう情報を発信してほしいという声が聞けて、今後のチャンネル運用の参考になりました。やはりこういうのは悶々と考えていないで、さくっと参加者に聞いてしまうに限ります。

ポータルサイトを作成

先程のアンケートで、情報発信が1日に1回では多すぎるので後で読み直しするという声がありましたので、さくっとポータルサイトを作る事にしました。
弊社は誰でも Google Sites を使用して社内ページを作る事ができますので、Google Sites で作りました。

実際に作ったポータルサイト

これについては「情報を検索しやすくなった」「あとで読めるので安心」という声を頂き「Slack は情報が流れやすい」という弱みをカバーできる結果を得られました。
個人的にも、ポータルサイトがあるともっとチャンネル運用を頑張ろうと思えました。

理解度テストを作成

こちらも先程のアンケートで頂いた声です。
自分も理解度テストがあるといいかもと思いましたので、初歩的な質問から少し踏み込んだ質問までを、理解度テスト初級編という形で作ってみました。

実際の理解度テストの一部

Google フォームを使用したテストだと解答者の半数が間違えた問題がわかりますので、後日、詳細解説をチャンネルに載せる事で、さらなる理解の手助けをする事ができました。
また、実際に解答者が能動的に解答を選択する事で、より SEO 知識を覚えやすいという手応えも得られました。

理解度テストは非常によい結果を得られましたので、今後は中級編、上級編と作成していこうと考えています。

運用してみて得られた結果

SEO を身近に感じてもらえた

SEO 施策の半分は「Google の意向に沿う」事なので、その Google の考えを知らないと、施策の意義がなかなか理解ができないものですが、チャンネルでの日々の情報発信や Google の SEO への考え方の共有などを続けていった結果、これまで「SEO よくわからん」と思っていた人からも「SEO ちょっとわかる」と言ってもらえ、手応えを得れました。
また、SEO の質問や相談がチャンネル内でされるようになり、部門間での知識共有や施策共有なども行われるようになりました。

SEO の必要性や情報のアップデートの大切さを多く人に感じてもらえた

Google の検索アルゴリズムがアップデートされれば、今まで推奨されてた事も非推奨になるという事は、SEO あるあるです。
むしろ、Google が直接言ってくれる変更はボーナスのようなもので、大半は皆で推測をしているとも言えるかもしれません。
日々上記のような SEO の情報を発信して SEO 界隈は毎日新しい情報で溢れている事を参加者に感じ取って貰えたのは大きな一歩だと感じています。

コミュニティの運用の勉強になる

百数十名程度の規模のチャンネルと言えど、様々な業種の人が興味を持って参加してくれているチャンネルなので、それをちゃんと回していく事はコミュニティ運用につながる事だと感じ、とてもよい経験になりました。
また、運用していくにつれて得られる参加者の声はとても嬉しいもので、特にアンケートで「有意義」「とてもためになる」「毎日勉強になる」「SEO の情報更新についていけるようになった」「興味・基礎レベルの底上げに貢献している」などの感想を頂いた事は、Slack 上での絵文字のリアクションだけでは分からない感想だったので、非常にモチベーションに繋がりました。

なにより自分の勉強になる

個人的に一番よかった点はこれです。SEO という半分は推測で出来ているようなものをキチンと情報発信するには、自分がなにより詳しくならないと出来ないと感じました。初歩的なことから踏み入った事まで、改めて勉強をするよい機会となりました。

アウトプットに慣れる

これは副次的な効果ですが、毎日毎日情報発信をすると、それがライフワークとなり、自然な行為になりました。以前よりネタ探しがうまくなり、文章も内容を簡潔にわかりやすくまとめるクセがついてきました。

おわりに

同じ様に SEO は理解を得られにくいなと感じている人は、まわりを巻き込んだ SEO の情報発信から始めてみるのはいかがでしょうか?
Google の SEO への考え方や、Google 的にベストな SEO 手法など、公式情報があるものから始めると、やりやすいです。
また SEO に限った話ではなく、何かを成し遂げたい場合、まわりを巻き込んで流れを作っていくのが、オススメです。


‘小林大介’

学生時代にネット絵描きとして活動し、2008年にWEBデザイナーとしてIT業界の門を叩く。荒波に揉みに揉まれた結果、サーバ構築からバックエンド、フロントエンドの実装まで、ひと通り出来るようになっていた。 今はJavaScriptエンジニアと呼ばれるのが好き。