ぐるなびディレクターの業務効率化に向けた生成AI活用事例

1. はじめに

こんにちは。株式会社ぐるなびでディレクターグループのマネージャーを務めている渡部です。

「生成AIをどう業務に組み込むか」——今、あらゆる職種でこの問いが投げかけられていますが、 私たちもまた、避けて通れないテーマになっており、メンバー一人ひとりが生成AIを日常的に活用し、業務内容・方法をアップデートし始めています。

今回は、私たちぐるなびのディレクター陣が実際に取り組んでいる「生成AIを活用した業務効率化」の事例をいくつか紹介したいと思います。

2. ぐるなびにおける「ディレクター業務」とは

事例に入る前に、私たちが日々どのような業務を行っているのか簡単にご紹介します。
ぐるなびのディレクターは、単に進行管理をするだけではなく、要求定義~リリース後の効果検証までワンストップで担当するのが特徴です。

主な業務フローは、大きく以下の4つの工程に分かれています。

1.要件定義・仕様策定: 事業観点・ユーザー観点双方での課題把握、要求定義・詳細な仕様書作成

2.制作・進行管理: 仕様レビュー・スケジュール策定・開発進行管理

3.受入れテスト・リリース:テスト項目作成・受入れテスト・リリース手順の策定

4.振り返り・効果検証: リリース後のデータ分析・次期施策立案

これまでは、これらすべての工程において「手作業による現状仕様の理解」や「ゼロからのドキュメント作成」に多くの時間を費やしていました。
しかし、生成AIの登場によって、このフローの各所に大きな変化が起き始めています。

3. 生成AIを活用した業務効率化の取り組み(工程別事例)

ぐるなびのディレクター陣が、具体的にどの工程でどのようなツールを使い、どう業務を変えていったのか。

特に成果が顕著だった2つの事例をご紹介します。

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① 要件定義・仕様策定:NotebookLMによる「現状仕様の把握」の効率化

新しい施策の要件定義・仕様策定する際、最も時間がかかるのは「現状の仕様の確認」です。

長年運用されているサービスでは、仕様が複数のドキュメントに点在していたり、過去の経緯が複雑に絡み合っていたりすることが少なくありません。 そこで活用しているのが、GoogleのNotebookLMです。

具体的な活用法:
関連する既存の画面仕様書、計測仕様書、バリデーションチェックリストなどのドキュメント群をソースとしてNotebookLMにアップロードします。 その上で、「予約フォームのバリデーション仕様が知りたい」「画像表示の優先順位とトリミングの仕様を教えて」といった質問をチャット形式で投げます。

効率化のポイント:
これまでは知りたい内容を複数のドキュメントの中から探し、一つひとつ読み解きながら現状を把握していましたが、NotebookLMを使えば「ドキュメントに基づいた正確な回答」を瞬時に得られます。
ソースの引用元も明示されるため、すぐに実際の画面での検証に入れたり、本来集中すべき「新しい要件・仕様の策定」に時間を割けるようになりました。

② 受入れテスト・リリース:GeminiのGem(以降Gem)によるテスト項目書作成の効率化

開発が完了した後の「受入れテスト」は、品質を担保する最後の砦です。
しかし、複雑な仕様になればなるほど、手作業でテスト項目を作成すると「確認漏れ」のリスクや、作成自体の工数が膨大になる課題がありました。
現在は、Gemを活用してテスト項目書の自動作成を行っています。

エンジニアと一緒に行った取り組みはこちら

具体的な活用法:
Gemが「テスト項目書作成のプロ」として振る舞ってくれるように「カスタム指示」を設定。

固まった要件定義書や仕様書、計測などの関連ドキュメントをGemにアップロード、「添付の仕様書から受入れテストの項目書を作成して」とプロンプトを入力します。

ここが効率化のポイント:
正常系だけではなく、見落としがちな「未入力時の挙動」や「通信エラー時の表示」といった異常系のケースも含めて網羅的にリストアップしてくれます。

「ゼロから作る」のではなく、AIが出した「網羅的な叩き台」を人間がレビュー・修正するというフローに変えたことで、作成時間は大幅に短縮されました。

4. AI活用を通して学んだ2つのこと

マネージャーという立場でメンバーのAI活用を推進・俯瞰して見てきた中で大きく2つの気づきがありました。

① 導入初期は活用できる状態になるまで予想以上に時間がかかる

導入直後のフェーズでは、期待した精度を出すためのプロンプトの試行錯誤に時間がかかり、結果として「自分で仕様を確認した際・ゼロからテスト項目を作成した際よりも多くの工数がかかっていた」ケースも見られました。

マネージャーとしては、この「習熟期間における一時的な効率低下」を許容し、短絡的に「効率が悪いからやめよう」と判断しない忍耐強さが必要だと感じています。

②最終的な「判断」は代替できない。あくまでも「超・高性能な叩き台」

AIでできることがどんどん増えている中でも、マネージャーとしてメンバーに伝えているのは「最終的には自分で考える・自分で判断する」ということです。

NotebookLMやGemの活用で効率化が実現していますが、実際の画面を確認した際に間違いがあったり、テスト観点が漏れたりすることは少なくありません。
AIが出した答えをそのまま横流しにするのではなく、最後は必ず人間が「その仕様にした背景」や「事業観点・ユーザー観点」に照らし合わせてレビューし、最終決定を出す。
AI時代になってもなお、「人間による判断」はディレクター業務において不可欠だと考えています。

5. まとめ:AIの進化と共に変わり続ける現場

「最終的には自分で考える・自分で判断する」は今後も変わることはないと思う一方で、AIでできることが日々増え、精度も確実に上がっています。
現に、私たちのチームでの活用法も日々アップデートされており、テスト項目書の作成においては作成した項目書を何度かGemに読み込ませて、作成からレビューまでを一貫して行う事例も出てきました。(他業務における事例は次回以降にまた・・)

新しい機能が登場したらまずは触れてみて、失敗も含めて共有する。
そんな試行錯誤の先に「ディレクターとしての新しい働き方」が見えてくるのかもしれません。


ぐるなびでは、新しい技術を貪欲に取り入れ、共に進化し続けるディレクターを募集しています!まずはお気軽にご応募ください!


2012年にぐるなび入社。入社以降ずっとディレクターとして業務を行っています。
育児においてはなかなかAI活用できていない二児の母です。