
こんにちは、駆け出しPdM(プロダクトマネージャー)のこゆいです。
先日、ラスベガスで開催された「Google Cloud Next '26」に参加してきました。
現地で感じたことと、私がこれから目指したい組織・プロダクトの未来について考えたことをつらつらと書いています。
AIを活用して作業を効率化できた…「So What?(で、それを使ってどんな価値を生み出すの?)」
エンジニアブログには8年ぶりの投稿となります…!
以前の記事ではSlackを企画開発系の組織に導入した話を書いていましたが、今やSlackは全社の標準ツールとなり業務では欠かせないインフラとなっています。
当時の記事を見て当時の自分をちょっと誇らしく思いつつ、この8年の間に、私自身は予約システムのリーダーを経験し、2度の産休育休を経て、今はPdMにチャレンジしつつ生成AI CoE(Center of Excellence:組織横断の専門家集団)としても日々奮闘しています。
先日、ラスベガスで開催された「Google Cloud Next '26」に参加してきました。
母となってから単身で何日も海外に行くなんて初めてのこと。出発前はドキドキでしたが、せっかくいただいた機会なので「いま世界で起きているトレンドという『風』をキャッチし、それをぐるなびのプロダクトや組織の『上昇気流』にどう変えていくか」を意識しながら臨んできました。
(5月ということもあり、少し鯉のぼりを意識したワードチョイスです!笑)
現地で感じたことと、私がこれから目指したい組織・プロダクトの未来について考えたことをつらつらと書きたいと思います。

AIは「アシスタント」から「自律的なチームメイト」へ
今回のGoogle Cloud Next '26を通して、最も強く受け取ったメッセージ。それは、「AIは単なるチャットボット(指示を待つアシスタント)の時代を終え、自律的に動く『チームメイト(エージェント)』へとパラダイムシフトした」ということです。
ここで合わせて強調されていたのが、「Human-in-the-loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ)」という考え方です。AIが自律的に動く世界だからこそ、要所での人間のレビューや、最終的な意思決定、倫理的なジャッジといった「人間が常にループの中にとどまる」ことが重要ということです。
ただし、それがスピードのボトルネックになっては意味がありません。
これについて現地のとあるセッションでは、現在の生成AIを巡る状況を「F1カー」に例えて次のように語られていました。
過去数ヶ月でコーディングエージェントの技術は信じられないほどの進歩を遂げ、私たちは実質的に「F1カー」を作り上げました。 しかし、それを安全に走らせるための「レーストラック」はまだ未完成です。 そのため、F1カーが一般の市街地を走っているような状態になっており、1つの信号から次の信号まではものすごいスピードで移動できても、結局は次の赤信号(人間のコードレビューの負担など)で立ち往生してしまいます。 真に10倍のスピードを引き出すには、ソフトウェアエンジニアリングを根本から再考し、安全に走らせるための仕組みやガードレールを整備する必要があります。
これはコーディングだけに言えることではなく、プロダクト開発全体で言えることだろうなと思います。
必要な部分には人間が介在しつつも、AIのスピードを活かすための仕組みをどう設計するか。それが、いま課された次の課題かもしれません。

まっさらな画面から始まる、資料作成のパラダイムシフト
PdM、そしてAI CoEとしての視点でも、このパラダイムシフトを最も身近に体感したのが、Google Workspaceの進化(Workspace Intelligence)でした。
現地で私がわくわくしたのは、まっさらなGoogleドキュメントやGoogleスライドのGeminiに対し、何のソースも渡さずに資料作成を依頼しただけで、精度の高いベースがみるみる生成されていく様子を見たときでした。
今までは「こんな資料を作りたいな」と頭の中で考えてAIに出力させようとすると、人間側に大きな前準備のコストがかかっていました。
該当するミーティングの文字起こしを議事録から探し出し、過去の関連資料をGoogleドライブの奥底から発掘し、それをコンテキスト(文脈)としてAIに丁寧に流し込んで依頼する…。そして生成されたものを見たあと、自分の立場の提示を忘れていたことに気づき追加の情報を渡して再生成してもらう…。
これでは、「AIに資料を作成してもらうための準備」というお世話のような作業に、人間の脳のリソースや時間が奪われてしまいます。(これをベビーシッティングと表現しているセッションがいくつかありました)
しかし、Google Cloud Next '26で見た世界では、Google Workspaceそのものが、自分の頭の中(記憶や文脈)と同じ役割を果たしてくれる世界でした。
社内のドキュメント、過去のやり取り、ミーティングの文脈をシステム側がすでに裏側で理解しているため、人間がソースを探してくる必要はありません。
「〇〇のプロジェクトの、XXについて議論した内容を踏まえて、次のステップに向けた提案のベースを作って」
そう伝えるだけで、一瞬にしてハイクオリティな叩き台が生成されます。
人間は「ベース作りのための準備」という作業から解放され、「自分の考えている絶妙なニュアンス」や「この資料で一番伝えたい熱量・メッセージ」をどう表現するか、という作業に最初から集中できるようになります。
これにより個人、チームのアウトプットのスピードは圧倒的に加速すると感じました。
「So What?」――作業を爆速にした、その先で何を生み出すか
業務の作業時間を短縮し効率化を徹底して進めていくことは、言うまでもなく重要であり、すべての土台となります。ぐるなび内でも、多くの社員が日々その工夫を重ねています。
その上で、AIという自律的なチームメイトの登場によって「圧倒的なスピード」が手に入ったとき、私たちはもう一歩先の未来を見据える必要があります。
それは、スピーディーに作業ができるようになったこと自体を、いかにビジネスの成果(アウトカム)に直結させるかという視点です。
単に「早くコードが書けた」「早く資料が作れた」というアウトプットの効率化にとどまらず、それによっていち早くユーザーに価値を届け、市場のフィードバックを得て、プロダクトを改善する。このサイクルをどこよりも高速で回せるようになること自体が、売上やユーザー体験といった『成果(アウトカム)』を最大化するための強力な武器になります。
とあるセッションで「So What?」というフレーズが出てきました。
そのセッションでは、単純にデータを分析して得られたレポートに対して、Geminiを使って「So What?(そこから何が言えるのか、何が起きているのか)」を導き出すことができるという文脈でした。
ただ私はこの「So What?」がAIで作業効率を上げることに必死になっている自分に問われているフレーズにも聞こえたのです。
作業を効率化できた…「So What?(で、それを使ってどんな価値を生み出すの?)」
それを常に意識する必要があるのだと感じました。
ぐるなびが抱えるリアルな課題と、エンジニアが起こす「上昇気流」
この「スピードをアウトカムに変える」という思想は、いまのぐるなびの組織運営におけるリアルな課題を解決する後押しにもなると考えています。
現在、私たちの開発組織は複数のチームに分かれており、それぞれが責任を持って重要なコンテンツを担当しています。
ビジネスの状況に応じて、「いま、このコンテンツに注力したい!ここに一気に人を寄せたい!」という局面は多々あります。
しかし、それぞれのコンテンツが持つ固有の仕様や歴史的経緯へのキャッチアップコストをいかに下げるかが、さらなるリソースの流動性を高め、タイムラグをなくしていく上での重要な挑戦(組織の伸び代)となっています。
この「知識のキャッチアップ」にうまくAIを活用し、異動してきたばかりのエンジニアが、過去の莫大なドキュメントの山に溺れることなく、「そのコンテンツの文脈」を素早くキャッチアップ・理解できるようになる。
これが実現できれば、パワーをかけたいコンテンツに、必要なタイミングで、すぐに最大のパワーを投入し、最短でビジネスの成果(アウトカム)に繋げることができるようになります。
これこそが、開発組織に起こしたい「第一の上昇気流」です。そして開発組織の動きがスピーディーになれば、それはそのまま、「事業自体が思い描く成長スピードを加速させる」という第二の上昇気流へと繋がっていくと思っています。

おわりに
ラスベガスで大きな変化の風を感じたいま、私は「これからのものづくりのあり方」を改めて見つめ直しています。
そもそもものづくりって、ただ「ものをつくること」それ自体が目的ではないはずです。つくったものを受け取った相手の心を、どう動かしたいか。それこそが本質なのだと思います。
営業がいて、企画がいて、ディレクターがいて、エンジニアがいる。こうした確立された組織構造の中にいると、エンジニアの役割として「どのように技術的に実現するか」という手段に集中しがちになる側面があり、時にはユーザーの動きよりも社内の調整や要件定義に多くのリソースを割いてしまう構造的な課題がありました。
しかし、AIエージェントと共に「アウトカムを出す時代」となったいま、私たちは変わっていかなければなりません。
当たり前のことかもしれませんが、営業も、企画も、ディレクターも、エンジニアも、職種の垣根をすべて無くして、みんながまっすぐにユーザーや飲食店様の方を向く。技術によって生まれた圧倒的なスピードを武器に、「何を提供したいか」「そのためには何が必要か」を全員で考え、考え抜くことが大事だと改めて感じています。
すごくそれっぽいことを語ってしまいましたが、何より、私は今回のGoogle Cloud Next '26に参加して、心の底から「わくわく」しました。
私たちのサービスを利用してくださるユーザーの皆様、そして飲食店様にも、たくさんの「わくわく」を感じてもらえるようなサービスをこれからも全力で提供していきたい。どうやってそれを実現しよう。そんな思いで今わくわくしています。
