1,000アカウント規模でSlack利用料を請求書払いにした話

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どーも、ネコが大好きこゆいです。
先日池袋の猫の居る休憩所299に行ってまいりました。あまたのお猫様達に癒され、ついつい写真を撮りすぎました。せっかくなのでおすそ分けをしておきますw
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さて、前回の記事で請求書払いの流れについて「改めて詳しく記事を書くことにします」としていたので今回はそのお話と、基本であるSlackの課金システムについての解説をしようと思います。

Slackの課金システム

請求書払いの話に入る前に、まずはSlackの料金システムをおさらいします。

アカウントの種類

Slackのユーザアカウントは4種類あります。

Full Member...joinできるChannel数に制限なし

  • Bot User いわゆるbotアカウント
  • Normal User(Member, Admin, Ownerを含む)一般的なアカウント

Guest Account...joinできるChannel数に制限あり

  • Multi-Channel Guest 複数のChannelにjoinできる
  • Single-Channel Guest 1つのChannelのみjoinできる

この中で課金対象になるのは、複数Channelにjoinできる人間のアカウント「Normal Users」と「Multi-Channel Guests」の2つです。*1

プランの制定

Slackの利用料は、プランの種類と支払い方法によって変わります。それぞれのアカウントでひと月あたりの支払い額は以下のようになります。

Standardプラン

  • 1年分(12ヶ月分)一括払い...6.67ドル/1ヶ月
  • 月払い...8ドル/1ヶ月

Plusプラン

  • 1年分(12ヶ月分)一括払い...12.5ドル/1ヶ月
  • 月払い...15ドル/1ヶ月

StandardとPlusでは使える機能や容量に差があります*2。セキュリティの関係で完全なログを残す必要があったため、ぐるなびではPlusプランを使用しています。

料金は各ユーザが使った分だけ発生

Slackが掲げているFair Billing Policyには、実際に使った分だけ料金請求するよ、と明言されています。

Slackを使ったかどうかはログインの有無で判断されるようです。

たとえば14日以上ログインされなかったアカウントや、管理者から非アクティブ設定されたアカウントはinactive userに切り替わり*3ます。

ユーザのステータスがinactiveに切り替わると、残りの契約日数分の金額がクレジットとして戻ってきます

また、再びログインするとアカウントはactive userに切り替わります。その場合、クレジットから契約期間終了までの残日数分の使用料を差し引かれます。

Slackを使ったかどうかはログインの有無で判断

例を元にシミュレーションしてみましょう。年間契約(Plus Plan利用、月12.5ドル/1ユーザ)と仮定します。

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年間契約では、初回支払時に契約開始日〜契約終了日までの料金を支払います。

この例では、2016/4/1〜2017/3/31が契約期間。1ユーザあたり$12.5×12month=$150 を支払います。便宜上、1ユーザの1日あたり利用料金は $150÷365days=約$0.4と考えます。

最終ログインから14日後に残日数分がクレジットで返還される

Slackの最終ログインから14日後、7月1日にアカウントはinactiveとなり、契約満了日までの使用料がクレジットとして返還されます。

この例では、7月1日から契約満了日である翌年の3月31日までは274日間。式にすると274days×$0.4=$109.6。この金額がクレジットとして戻ってきます。

再ログインで契約満了日分までの使用料をクレジットから差し引かれる

inactive状態のユーザが再びログインした日9月16日にアカウントはactiveに戻ります。この場合、「再利用した日から契約満了日までの使用料を支払いする」という処理をされます。今回の例では、再利用した9月16日から3月31日までは197日間。式にすると197days×$0.4=$78.8。この金額がクレジットから差し引かれます。

再度利用を止めると残日数分の使用料がクレジットとして返還される

同様に、10月2日が最終ログインの場合、14日後の10月16日にアカウントはinactiveになります。

この例では、10月16日から3月31日までは167日間。よって167days×$0.4=$66.8がクレジットに補填されます。

再度ログインすると残日数分の使用料がクレジットから差し引かれる

12月1日に再ログインしてアカウントがactiveになったとします。12月1日から3月31日までは121日間。つまり、 121days×$0.4=$48.4 がクレジットから差し引かれます。

契約期間の途中でユーザアカウントを追加した場合

もし契約期間の途中でユーザアカウントを作成した際の最初の支払いは、年間分の150ドルではなく、アカウント作成日から契約終了日までの残り日数分。その後の仕組みは上記で説明した仕組みと変わりません。1チームの全ユーザが同じ年額契約終了日まで契約している状態というわけです。

支払い方法の選定

ここからは支払い方法の話に移ります。

Slackで使用できる支払い方法は2種類。クレジットカード払いと請求書払いです。

クレジットカード払いの問題点

最初はクレジットカードで月額支払いをしていましたが、問題が出てきました。

ユーザ数が増え毎月の支払いがなかなかの金額になり、月によっては一時的にクレジットカードの上限を上げる等の対応が必要になってきたのです。

月額の支払いを年額の一括支払いに変えれば月々の対応はなくなるかもしれません。しかし、初回の引き落とし金額がいいお値段になるので、経理部門から請求書払いにできないか、という相談がありました。

請求書払いの利点

クレジットカード払いの問題点の裏返しになってしまいますが、請求書払いの利点はカードの上限を気にする必要がないところです。 社内での経費処理がスムーズにできるのもありがたい点でした。

請求書払いできる条件

Slack のヘルプページには下記の条件が記載されています。

  • Standard Plan では125以上のメンバーがいるチーム
  • Plus Plan では67以上のメンバーがいるチーム

要は「一括で10,000ドル以上払う必要がある場合請求書払いにできますよ」ということのようです。

同じくヘルプ内「請求書支払い」には、請求書払いにしたい人は連絡してねと一言だけ書かれています。そのあとどんな手続きが待ち受けているかは明記なし。

ドキドキしながら、拙い英語でコンタクトをとってみました。

初回請求書払いが確定するまでのやり取り

やりとりはすべて英語でおこないました。今回は雰囲気を再現しつつ、日本語訳を添えてお送り致します。

※以下のやりとりは再現イメージです

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こんにちはー。
今、Standard Planを月払いで利用している者です。
4月1日からPlus Planの年払いにアップグレードしようと思ってます。
そこで、請求書払いにしたいんです。
設定してもらえませんか?
チーム名:hogehoge
会社名:株式会社ぐるなび
住所:fugafuga
もし他に情報が必要であれば、教えてください。
よろしくお願いします。

Dear Sirs

My name is ●●(※) (Ms) who work for a company called Gurunavi, Inc. in Japan.

We are using Slack with monthly payment Standard Plan.

From1st April 2016, we will be upgrading to the annual payment Plus Plan.

Upon upgrading of the payment plan, we would like to arrange for an invoicing.

Therefore, please let us know whether you can deal with this request.

Please find our information below.

Team Name:hogehoge
Company Name:Gurunavi, Inc.
Address:fugafuga
If you require more information, please do not hesitate to ask me.

Best Regards,

(※注)●●は個人名のため伏せさせていただきます

メールを送ってから2時間半くらいで女性の問い合わせ担当者から返信がきました。ちょっとした誤解があって、請求書払いの設定ができる人数を超えてないと思われた様子。残念ながら人数が足りないの、と言われ、合わせてこんな提案までもらいました。

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代わりに、もし近いうちに67ユーザを超える見込みでいるなら、67人分を先に支払っておくっていう方法もあるわ。
この場合でも、実際に使われる(課金対象となる)のはアクティブユーザの分だけだから、安心して。

Alternatively, if you think that your team might grow to 67 users in the near future, the option exists to prepay for 67 users by invoice and thanks to the Fair Billing Policy, Slack will only charge for the active users in your account.

The surplus credits will remain in your account indefinitely until you have enough active users.

無事誤解をとき、手続き続行。

f:id:kaneko-yu:20161114213444p:plain:w50
誤解しちゃってごめんなさいね。教えてくれてありがとう。それじゃあ請求書払いにできそうね、よかったわ。
必要な情報は下記の通りよ。
会社名:
支払い担当者名:
支払い担当者メールアドレス:
会社の住所:
会社の電話番号:
Slack のチームのURL:
年額プラン(Standard / Plus):
最初に支払うユーザ数:
発注番号(もし必要なら):
支払い期限は30日以内

My sincere apologies - you do qualify for invoicing for team hogehoge.slack.com.

Thank you for clarifying with me.

I am happy to help get you set-up for invoicing.

Here are the details I need from you:

Official Company Name:

Billing Contact Name:
Billing Contact Email:
Address:
Phone Number:
URL of your Slack Team Account:
Slack Annual Pricing Plan (Standard/Plus):
Number of users you want the initial Annual invoice to include:
PO Number (if required):
Payment terms are Net 30

この時点ではまだトライアル段階なので、われわれのチームは138ユーザでした。4月以降は正式オープン、500人以上に達する見込みだったので「500ユーザ分払います」と担当者に伝えました。

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(必要な情報をお伝えした上で)
年度の開始が4月1日なのですが、2016/04/01から請求書払いに設定可能ですか?

中略
If there are any imcomplete answers, please let us know.
We would like you to start invoicing from 1st April 2016, since our fiscal year begins from April.
Best regards,

ちなみにこのメールを送ったのは2016/03/30のこと。今考えたらひどい。

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情報ありがとう。2016/04/01から請求書払いの設定をするわね。
あなたの国とチームの人数を考慮して、アカウント管理の同僚にこのあとは引き継ぐわ。あなた専任よ。
Thanks for gathering the information.
We can certainly set-up invoicing for after 2016/04/01.
Also, based on the size of your team and your location, I am going to hand you over to my colleague ●●(※) who will be your dedicated Account Executive based in Melbourne.

(※注)●●は個人名のため伏せさせていただきます

直後男性の担当者が颯爽と現れ、140ユーザ分の注文書作ったよ!どうぞ!とメールが。いや、あの、500ユーザ……と思っているうちに、下記の訂正メールが追って届きました。

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おお、ごめん、急ぎすぎたようだ。初回は500ユーザ分?それとも140ユーザ分?それともアクティブユーザ分?
500ユーザ分の注文書も添付しておくね。好きなほうを使って注文してくれれば従うよ!
4月1日に設定を完了させるから、新しい年度から開始できるよ。
Sorry I might have moved too fast -- do you prefer to do the initial purchase for 500 users or the current 140 or so active users?
I've also attached an order for 500 users.
You can execute whichever we prefer and we will invoice accordingly!
I can complete the upgrade on Friday April 1, so it falls into the new fiscal year.

注文書には規約的な内容と、先に女性の担当者にお伝えした情報が記載されています。こちらは、Signの欄に署名をするだけ。

届いたPDFを印刷してBOSSに署名してもらい、再度PDFにして男性の担当者に返送。PDFを受け取ると、サクッとチャージしてくれたのをSlackのBillingの画面から確認できました。

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1週間後、請求書とアメリカの税処理完了の資料が届くので、30日以内に振り込んで初回は完了です。

初回以降は四半期ごとの清算

Slackは初回の支払いを終えたら、四半期ごとに不足分のクレジットを清算するシステムとなっています。

追加分の支払いの仕組み

利用開始から2ヶ月後、最初に注文した500ユーザを超えそうな勢いだったので、男性の担当者に追加分の注文書の発行をお願いしました。すると、下記のような返信が。

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連絡ありがとう。ユーザの追加には新しい注文書は必要ないんだ。Slackは実際の使用量によって自動で請求できるようになっているからね。もし最初のアカウント数をオーバーしてユーザを追加した場合、四半期に1回、実際に追加されたユーザ分の請求書を送るようになっているよ。
だから、好きなようにどんどんユーザを追加しちゃって。手続きは自動化されているから、今後は事前に連絡をする必要もないからね :)
Thanks for this information.
We do not require a new Order Form, for added users. Our system automatically measures your actual usage.
If you add more users, we will send an invoice once per calendar quarter, for the pro-rated added users.
So, please go ahead and invite as many additional users as you wish.
In future, you do not need to let us know in advance, since the process is automated :)

便利な反面、うっかりユーザを追加しすぎると予算を超えた請求が来てしまいます。管理者は、クレジットの残高を常に意識しなくてはいけません。

ぐるなびでは、SlackのBilling画面のHistoryをもとに、アクティブユーザ数や金額の変動を月次でグラフ化して確認しています。

追加分の支払い処理

請求書払いに変えてから半年後の2016/10/07、超過分の請求書が自動送信と思われるメールで届きました。 Billingの画面には10/1に清算金額が表示されています。ステータスはUnpaid。右端にはクレジット残高が±0になったことも確認できます。

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翌年度分の請求は、前年度同様に注文書を出す形です。注文書はSlack側から送られてきます。

必要箇所を記入し、PDFで送付することで手続きは完了しました。

請求書が届くタイミングに注意

上記のように進んでいった請求書まわりのやりとりですが、請求書が届くタイミングで一度つまずきました。

Slack側が請求書を発行するタイミングが下記のような段階を踏むようです。

  • Slack側にて自動システムで請求書が発行される
  • Slack側にて人力で請求書の承認をおこなう
  • 請求書が送付される

このため、承認に時間がかかると月の中旬くらいに請求書が届くことになり、月次の経費処理に間に合わないという事象が発生しました。

経理に相談してbilling画面で見れる想定請求額を伝えて事前に処理をしてもらい、実際の請求書が届いたらイレギュラーで対応。今回はなんとかなりましたが、どのタイミングで請求書が届くかは注意したほうがよさそうです。

まとめ

Slackに支払う金額を正確に把握するのは、結構ハードルが高いです。グラフ化して追ってみても、実際の追加請求分の金額と微妙にずれていたりします。(たぶん端数とかの問題……だと思う)

あとは、現在のクレジット残高と、超過料金がいくらになるのか、がちょっと画面ではわかりづらいんですよね。と思っていたら、この記事を書いている間に細かい改修が入って一番右に表示されるようになりました!

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これで少しは費用管理をしやすくなったかもしれません。とはいえ、信じて言われるがまま支払うのが結局のところ楽なのかも。

ではまたっ(・ω・)ノ

(つぶやき)前回の記事以降、登録されているemojiがグンと増えた気がする。。。w


こゆい

2011年に新卒で入社。店舗ページ・レストラン向け管理画面の開発経験を経て、現在はより効率良く楽しく開発できるための環境づくりに携わっています。趣味はフットサル、ネコに目がなく、気がついたらデスクはネコグッズであふれています。