スマホアプリチームの岩田です。
最近お気に入りの喫茶店は「眞踏珈琲店」。公式Twitterの勢いとは裏腹に、店内は落ち着いた雰囲気です。1階はカウンターで店員さん(Twitterの中の人です)と楽しくおしゃべりでき、2階は本に囲まれた空間になっています。1度足を運んでみてはどうでしょう?
さて、本がたくさんあるおしゃれな喫茶店でのんびりと趣味の開発を行うのも楽しいですが、今回はみんなでわいわい開発する「東大ガールズハッカソン」にメンターとして参加してきた話をしたいと思います。
東大ガールズハッカソンとは?
東京大学に通う女子学生を対象としたハッカソン(概要)、「東大ガールズハッカソン―わたしが作るはじめてのアプリ―」が12月3日、4日と開催されました。主催は東京大学新聞社。
主催の方のお話では女子学生は学部では20%ほどしかおらず、理工系となると更に少ないという現状とのこと。企画趣旨は「女性エンジニアの裾野を広げる」ことだそうです。我々ぐるなびは、その企画趣旨に共感しイベントスポンサーに。メンターとして私も参加してきました。
他にも大手IT企業や、Web系とは違った業種の大手企業など幅広い企業が出席されてました。さながら異業種交流会のような雰囲気もあり、Web業界にいると中々出会う機会が少ない企業の方々も多かったです。
参加された学生さんたちは、学部生がメイン。中には院生もいましたが、全体的には3〜4年生が多かった印象です。また学科も理工系ではなくプログラミング経験もほぼないといった方が大半でした。
ハッカソンに先立った「アイデアソン」
ハッカソンに先立ち、11月4日の夕方から日本橋にあるメンター企業のオフィスビルにてアイデアソンが開催されました。
アイデアソンで設定した目的は2つ。メンバー内でアイデアを出し合いながら開発するものを決めることと、チームビルディングでした。
チームは3人1チームが10チームほど。私がメンターすることになった学生さんたちは、学部1年生、4年生、院の留学生の3人チームでした。アイデアソンはメンター企業の方の説明でデザインスプリントを利用する形式で進められました。
アイスブレイクのための自己紹介
アイスブレイクのための自己紹介シートを作成しているところです。自分の好きなこと等を書き出しています(自分は真っ先にビールと書きました。高血圧怖いです)。
自己紹介シートを書いたあとは、順番に自己紹介をおこないました。写真は何かの説明をしている場面だと思いますが、みごとなろくろのポーズをとっています。
ペルソナの設定
アイデアソンでは司会の方主導で全チーム同じ流れで作業を進めます。
自己紹介を終えたあとは、チームでペルソナを考えました。
ペルソナの設定はチームでの認識をあわせてサービスを作る上での意思決定をぶれないようにするために行います。
私たちのチームでは、学生がイメージしやすいよう自分の困りごとをブレストしてもらいました。すると、チームのうち3人が睡眠に関する問題を抱えているとのこと。ペルソナは夜に眠れず昼間に眠くなってしまう女子大生に決定。名前は「ねむ子」としました。
課題と解決策のブレスト
続いて「ねむ子」の抱える睡眠に関する課題を解決するネタを考えました。出たアイデアは以下のような具合です。
課題
- 朝起きられない
- 夜遅くまでスマホで遊んでしまう
- 漫画とか読みはじめちゃう
解決するためのアイデア
- 積極的に朝に予定を入れさせる
- 朝食をみんなで食べる
- 朝食を提供してくれる
- 夜遅くなったらスマホも寝てしまう・機能停止する
などなど
睡眠に多くの問題を抱える「ねむ子」。改善を促すための意見としては、もっと睡眠をとらないと将来こんなふうになってしまうんだぞという恐怖感を与えることで、積極的に寝るようになるのではないか?という意見がでました。
いまどき女子大生のねむ子に最も響く形でのアプローチを検討した結果、睡眠時間に応じて老化したセルフィ(自らが被写体の写真を撮る行為またはその画像)を見せるという方法でのアプローチを検討。ほかにも夜にはやらないことリストを作り、睡眠時間を確保するといったアイデアがでました。
短時間で自己紹介やデザインスプリント(※1)を行い、何とかアイデアを形にしました。
(※1)デザインスプリント…デザインでの問題を解決するために短時間でプロトタイピングと検証を行う方法
この日のプログラムはアイデアソンのみ。各チームで出たアイデアを持ち帰り、1ヶ月かけてブラッシュアップをしました。
ハッカソン当日
メインイベントとなるハッカソンは12月3日と4日の2日間。虎ノ門ヒルズで開催されました。
両日とも朝9時から開始と「ねむ子」のペルソナを作り上げたチームメンバーには少し早い時間の開始かなと思っていましたが、皆さん遅れないでちゃんと集まっていました。
Javaを使ってプログラミング実践
Javaや他の言語でのプログラミングは未経験のチームメンバー。もちろんAndroidの実機デバッグも初めてです。
画面を一緒に見ながらプログラミングを組みましたが、はじめは配列の概念の理解やUIとソースコードを結びつける部分に少し難しそうな様子。Butter Knifeというライブラリを利用しながら、要領よくやり方を覚えていました。
ランチタイム
社員食堂で振る舞われた食事は毎食豪華。窓からは東京タワーなどもきれいに見えるほど眺めが良く、女子大生たちも景色を写真に撮っていました。
発表資料の確認
発表前にメンバー同士で発表資料をチェック。発表資料には以下を盛り込みました。
- 何故作ろうとしたのかの背景
- どんな機能を実現したのか(セルフィに老化処理をする)
- どんな機能の実装を諦めたのか
- このアプリを使うとどういう効果があるのか
自分たちで撮った動画や、アプリの操作画面の紹介、特にアプリにはアニメーションを入れたりデザインにこだわって作っていたので操作動画を入れたりとしていました。
入れたいことや話したいことがたくさんあったため時間オーバーしないよう内容を調整したり、発表練習を沢山したりと、みんなで和気あいあいと開発を楽しんでいました。
発表時の様子
某放送局の取材も入ったりと中々注目度の高いイベントでした
私自身も協賛企業の役員に囲まれて審査員をやってきました
今回メンターをしたチームは練習の成果もあり堂々とした発表をおこない、時間ピッタリに収まっていました。1番手の発表でしたが、落ち着いて内容を話せていたように思います。
しかし、残念ながら賞は逃してしまいました。頑張ったチームメンバーに賞を取らせてあげられず悔しい思いはあります。ただ、チームメンバーにはさまざまな学びがあったハッカソンになったのではと思っています。
メンターとしてのふりかえり
上記のように進んでいった東大ガールズハッカソンでしたが、メンターとして参加してみたKPT+αでふりかえりをしてみたいと思います。
Keep
まずはKeep、今後も続けていきたいと考えたことです。
アイデアソンを楽しんでいる学生さんが結構多かった
アイデア出しのアイデアソンをすごく楽しんでいる学生さんが多かったようです。学生さん向けならば、発想力や構成力を問うような企画を考えるコンテストもよさそうです。ただし、評価をする側の技量が試されることになるかと思います。
メンターは「メンバーを育てる」体験ができた
学生さん向けハッカソンのメンターは、今後、OJTなどで次の世代を育てる人が体験するとよい経験になると感じました。自分も年齢的には次の世代をそろそろ育てはじめるタイミングが近づいてきています。大変参考になりました。
学生さんからすると少し上の世代の私でしたが、お兄さん的雰囲気を醸し出したおかげか、親近感を感じてもらえたようでメンターしやすい雰囲気を作れました。
コミュニケーションツールを積極的に活用する
ぐるなびではSlackを利用していますが、学生さんとハッカソン中はLINEを利用しました。学生さんが使い慣れているということもあり、デザイン担当者が作成した画像をトークに送ったり、アイデアをまとめたファイルのやり取りなど、中々使いこなしていました。
Problem
つぎにProblem、ここは改善ができそうだと考えたことです。
コードの管理をしていない
今回、自分達のチームでは学生さん1名がメインでプログラミングを行っていたので問題にはならなかったのですが、複数名でコードを書くとなるとコードの管理が必要になります。
しかし、プログラミング初心者にGitHubなどのコード共有サービスや、gitを使いこなしてもらうには多機能であり理解するのに学習コストがかかります。アイデアを実現する以外の物事に時間を使うこととなり、短時間で導入をするにはハードルが高いかなと感じました。ちなみにぐるなびではGitLabを利用しています。
企業間での交流を行う時間をより設けたい
イベント全体を通してチーム内での交流を行う時間はたくさん取ることが出来ましたが、他の企業の方との交流できる時間も別枠で設けていただけたらもっと良いイベントになりそうだと感じました。ハッカソン終了後に交流会があったのですが同じチームで固まっている人が多かった印象です。見ず知らずの人と積極的にコミュニケーションをとりにいく難しさを考えると合コンの席替えシステムを考えた人って凄いなぁと思います。
Try
最後にTry、やってみたいと考えたことです。
開発しやすいような備品を用意する
個人的に無限コーヒーが最高でした。他にもチームごとにホワイトボードが配置されていたりと開発しやすい環境が整っていました。ぐるなびでもホワイトボードの壁を設置するなど開発用の設備を整えていますが、さらなる改善ができるのではないか?と感じました。
コーディング規約集を用意する
当たり前っちゃ当たり前なのですがコーディング規約って慣れが必要なんですよね。学生さんにはキャメルケースとスネークケースがなかなか区別できなかったようで、ちゃんと簡単な規約集等を用意すればよかったかなと思いました。
今後
今回のハッカソンでメンター経験を通して学んだことは主に2つ。
- 自分たちの常識を疑え
- 目的を見失わない
相手が同じ知識や常識を持っていると思い込んでコミュニケーションをとると、ディスコミュニケーションが生まれてしまいます。
また、今回のハッカソンの目的は、あくまで自分のチームを勝たせるのではなくチームを育てるというもの。良い雰囲気で開発をしてもらうためにコミュニケーションでは次の点を意識しました。
- 命令形の言葉を使わない
- 出てきたアイデアには極力賛同する
今後、ぐるなびのイベントスペースでも勉強会やイベントを開催していく予定です。今回の経験を活かして学生向けハッカソンや、エンジニア向けの勉強会を企画していきたいと思います。
イベントでも盛り上がれるエンジニアの方Wanted!
ぐるなびでは勉強会やハッカソンに一緒に参加できるエンジニアを募集しています。一緒にイベントで盛り上がれるエンジニアの方、お話しませんか?